「ツトムの虫」を探して 石垣島の自然観察者 正木任の残したもの 盛口満 著

販売価格 1,980円(内税)

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四六判 218p
ゲッチョ先生で知られ、昆虫に関しての著書の多い著者が、石垣島の岩崎卓爾や「正木任(マサキツトム)」の息子である譲(ゆずる)さんとの出会いを通し、戦禍によって命を落としたツトムのこと、残したものをたどる。

〈さて、1943(昭和18)年、敗戦2年前のこの年に、「虫の本を出そう」と心に秘めながら、戦禍によって命を落とした一人の人物がいる。
 正木任(まさきつとむ)である。
 加藤正世なら、ウィキペディアによって、そのおおまかな履歴を見て取れるが、正木任の場合はネットで検索しても、そのような情報はでてこない。世の中には、ネットにはでてこないことだってある。いや、本当はそういうことの方が多いだろう。正木任(以下、ツトムと略させてもらう)は1907(明治40)年生まれ。僕の祖父より6歳年下だが、加藤や僕の祖父と、おおまか、同じ世代の人物であると言っていいだろう。僕は、血縁関係はないものの、祖父と同時代を生きたツトムに、少なからぬ興味を覚えている。いや、ネットには情報があがらない彼のことを、少しでも書き残したいと思い、こうして筆をとっている。
 実際には書かれることのなかったツトムの虫の本をめぐる旅を、始めることにしたい。〉
(本書 「序章 この本が生まれるまで」より)

■目次
本書の主な登場人物 

序章 この本が生まれるまで 
生き物との出会い  少年時代に出会った本  正木任という人物 

第1章 卓爾の虫 
石垣島の「マサキさん」と「岩崎さん」  卓爾との出会い  テンブンヤーヌウシュマイ(天文屋の御主前)  卓爾の「新種」  卓爾の幼少期  卓爾と虫との関わり  生物季節観測  卓爾の生物季節観測記録  新種の名前  ホタルとセミの名前  卓爾の虫のその後 

第2章 ツトムの虫 
ツトムの履歴書  卓爾の右腕・瀬名波長宣  ツトムの記憶  八重山生物調査団  大島広の来島  江崎梯三の来島  珊瑚礁の昆虫たち  隠された発見者  ツトムの活躍  尖閣諸島の調査  コノハチョウの謎  コノハチョウの生態解明  ツトムの手紙  最後の手紙 

第3章 継いでいくものたち 
マサキさんの思い出  川平への道  肌で感じる気象観測  孫好さんの話  戦中から戦後へ   歌のカニたち  尖閣調査  気候や星を表す島の言葉  かつての自然利用  薬としての利用   薪や炭の利用  身近な植物の変化  原野の消失  八重山の自然破壊  気象観測業務の変化  止まない好奇心  島の歳時記  継いでいくもの 

終章 
系譜上の虫  終わりに 

引用文献 

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